11世紀も後半に入ってようやく、後ればせながら沖縄社会も生活スタイルの転換に成功する。これまでの狩猟採集にかわって農耕を基盤とした社会への展開であり、狩りをする人から耕す人への変身である。
狩猟採集の生活では、食料を求めて生活の場を移動せざるを得ない。このような移動生活は、おおげさにいえばジプシーさながらの暮らしといえなくもない。何とはなしに暗いイメージが先行するが、温暖な沖縄であってみればある意味ではボヘミアン的であったかも知れない。
農耕人となった人びとは、生活のステージを従前の海岸砂丘地から農耕に適した内陸部へ移し、小集団による集落を形成する。
こうした小集落の周辺からは、それまで突出して見られた貝塚の形成がじょじょに衰微し、炭化米や炭化麦に加えて牛の骨などの出土が見られるようになる。
明らかに人びとの暮らしに、大きな変革をもたらしたことがわかる。
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