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沖縄は本土に比べると地理的、文化的にも特殊な環境にあり、隔絶されていた面がありました。ですから一度伝わった言語が本土と同じようには変化せず、そのまま残っているもの、もしくはその特徴が残っているものが多くあります。沖縄の方言の原型である琉球方言は日本本土の古語から派生したものであり、その日本古語の原型を色濃く残していたーということは、その発展形である現代の沖縄方言にも少なからず日本の古代の言葉が混じっているということになります。
例えば、くしゃみをすると「クスックェー」、あるいは「クスケェー」などと横にいる人が言う慣わしが沖縄にはありますが(若い人はやりません)、この「クスックェー」の原型は仏教語の「休息万命」(くそくまんみょう)、あるいは「休息命」だということです。この「休息万命」は徒然草(1330年)の頃になると訛って「くさめ」になっています。この他にも、沖縄方言のチャービラ(ごめんください)の原型は「来侍ら」(きはべら)。イミソーレー(お入りください)の原型は「入り召しお坐れ」(いりめしおすわれ)、などたくさんの例があります。下に古事記等の古典に記された日本古語と沖縄古語の間に関連性があると思われるものの表を載せておきます。
沖縄方言に今なお残る日本の古語
古語 よみかた 意味 沖縄方言
阿岐豆 あきづ とんぼ アケジュ・アーケージュー
かなし いとおしい カナサン
猪鹿 しし シシ
和多 わた はらわた ワタ
母音は3つしか使わない

多様な文化の発展、流入によってその形をどんどん変えていく日本言語を尻目に、琉球方言は古代の言語の特徴を色濃く残しながら、ゆっくりと、しかし確実に独自の言語へと変化していきます。日本本土の言語と沖縄方言の違いを決定づけるものに、音韻の違いが挙げられます。日本言語が5母音(a・i・u・e・o アイウエオ)であるのに対して、沖縄方言には3母音(a・i・u アイウ)しかありません。これは本土のe・oに相当するものが沖縄方言ではi・uに置き換わっているのです。つまり五十音のエ列は沖縄方言ではイ列に変わり、オ列はウ列になるということです。具体的な例としては、

雨(あめ)→アミ 手(て)→ティ 心(こころ)→ククル 雲(くも)→クム

などがあります。

※このページの文章は外間守善著「 沖縄の言葉と歴史」その他の資料を参考に作成しました。
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