平凡な日々の暮らしを送っていた人が、ある日突然、神ダーリの状態になる。神ダーリは沖縄特有の表現で、「ダーリ」は方言である。なかなか理解困難なことばだが、アバウトな言い方をすれば「憑依現象」を指すのである。「憑依現象」は世界中いたるところで見られるもので、沖縄特有のものではないが、沖縄の場合、それがユタの世界への入り口となるところに、その特異性があるといえよう。
この「神ダーリ」の状態になると、「シラシグトゥ」(直訳すれば“知らせ事”ということになるが、“お告げ”といった方がより近いニュアンスになる)が死者の霊により直接本人(神ダーリ状態の人)に伝えられるのだそうだ。それも突然、ほとんど前兆もなしに始まるという。したがって、はたから見れば、まことに奇怪な行動をとることになる。会話中に突然気分が悪くなることが頻発し、時として失神してしまう。そうかと思えば、全く意味不明な歌をうたいだし、理解不能な言動が目立つようになり、ついにはトランス状態にも似たような症状を呈するようになる。本人は超自然的な存在との接触・交流を行っているのだろうが、周りの者には、単に精神に異常をきたしたとしか見えないのである。